<創刊号>2020年9月発行
突然降って湧いたような感がある「危機」が、今、日本そして東京に蔓延しております。
「自粛」と「経済」のバランスをどの様にとっていくか難しい舵取りに、多くの都民が先行きの見えない不安のなか過ごされているものと考えます。
パンデミックを引き起こした新型コロナの収束には、有効なワクチンや治療薬の開発が不可欠であり、この間、どのような対策を持って都民の生活を守り不安を軽減するか、都行政の役割は今まで以上に大変重い立場となっております。
その中で見えてきたものは、都財政の限界であります。東京都は、石原知事時代に都議会自民党との協力の元に財政の健全化を成し遂げ、小池都政まで約一兆円規模の財政調整基金を備えました。そこで今回の危機に至っては、この基金が都民への緊急支援に大きく役立ったのは言うまでもありません。
「医療崩壊の回避」「事業 者協力金」「感染拡大防止」等の対策にこれを充てて不安の解消に努めたところです。
しかしながら、約一千四百万人を抱える首都東京にとって、この基金にも限界があり、収束が見えない中、継続する対策費として新たな財源を求めるには都債発行も財源確保の手段として視野に入れる必要があると考えます。
ただ、都債(地方債)発行は投資的経費に限られており、前述の対策の目的への適用は制限されております。近年の国の姿勢は、地方分権に逆行した動きを見せており、特にこの緊急事態において地方の裁量に制限をかける事について、私は理解できません。
よって今回を機に、東京都は国に対して、地方における緊急時には地方の裁量による地方債発行ができる仕組みに変えるよう働きかけるべきと考えます。
また、従来からの都市部における法人事業税の搾取や一部間接税の偏在措置によって都民の財産が地方に分配されている状況も見過ごすことは許されない。
東京都は、都民の生活を守り向上させる事が最大の仕事である。